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建築と家具の関係 [家づくり]

「家具」とは文字通り、「家で使われる道具」のこと………。

日曜日の昨日、所用(=仕事)のため美麻村までのんびりドライブ。
業務上のタイアップ、、、というより一方的にお世話になっているとするほうが
正しい表現かもしれない、JIO工房の小田さんと家具製作関連の打合せでした。

現在穂高で進行している別荘に使うキッチンや洗面台などの製作に関する細かな打合せと
今秋に予定されている別の案件に関係する家具の話、計二件。
といっても真面目な打合せはさほど長時間にもならず、2~30分程度で終了。
その後はお茶を飲みながらのクラフト談議、家具談議でした。

クラフトフェアのことや作家とユーザーの関係のことなど
あれやこれやと他愛のないお喋りを続け、日も暮れてから帰路についたのですが、
小田さんと話しているなかで改めて思いを強くしたのが、
「建築と家具は切り離して考えられるものではない」ということ。

「建築と家具」が切り離せないというのは至極当たり前の事のように思えますが、
実際のところ当たり前の感覚といえるのは「住宅と家具」という捉え方であって、
決して「建築と家具」という関係についてではないというのが、
住宅建築業界の事情を客観的に眺めてみた、私なりの実感だったりします。
つまりマイホームなどの建築を計画し、設計作業を進めていくなかで
家具というものが後回しにされたりぞんざいに扱われたりすることが少なくないと。

その理由をおおざっぱに考えてみると。。。
まず、建築工事を完遂させる事に限り考えれば、家具というジャンルの存在は全く必要がない。
法務上必要となる建築確認申請でも家具については基本的にノーチェックです。
(造りつけの家具など、一部例外は除く。)
建築業者としては敢えて家具の話に触れずとも仕事は成立するわけで、
「間取りについて考察する際に家具の配置なども検討する」というところまでが、
建築業者と家具についての接点として最も多いパターンではないかと思います。
あとは建築工事に費やす予算について検討を進めるにあたり、
建築主さん側で工事予算とは別枠で家具の購入予算を確保しておいたり。
たとえ建築計画と同時進行で家具購入計画を進めていく場合であっても、
建築業者(設計者)と膝を突き合わせ、「住まいの総合的な造り(しつらえ)」のなかで
家具の中身を細部のディテールに至るまでとことん煮詰めていく作業を行っている人は
そう多くないのではないかと思います。

かくいう私も家造りの専門家として看板を掲げながらも、
これまでは家具というものの考察に積極的な姿勢が欠けていたように思えます。
もちろん建築主さんとの打合せのなかで家具の数や大きさや種類を確認したり、
平面その他の計画を立案する際にそうした家具の納まりを検証する作業は当然行いますし、
「造作する木製キッチンにマッチしたダイニングテーブルの製作もしてみませんか?」
みたいな提案を行うこともしばしばあったりしますが、
「最終的には家具は建築主さんの決める範疇だから」という思いが心の片隅にあり、
一歩踏み込んだ積極的な関与が不足していた感が無きにしも非ずのような気がします。

もちろん、家具の製作(または購入)という行為は建築ではありません。
でも“住まいづくり”という捉え方であれば、家具もその重要な要素であるのは明白。
冒頭に書いた「家具は家で使われる道具」という、ごく当たり前の視点があるならば、
住宅建築という行為から家具を切り離して考える事自体が不自然なわけでもあり。
ただ単に住宅としての器の設計をしているだけに留まらず、家具はもちろん生活空間の
総合的なアドバイザーとして積極的に暮らし作りに関わりを保ち続けて行きたいとの思いから、
本宅のトップページに『家造りは暮らし作り』なんて文言を書いているわけですが、
今まで自分でも納得の行く暮らし作りアドバイザーの役割を果たせていなかったことに
今更ながら深く反省もしたり。。。

……で、私のような舌足らずの若輩者が偉そうなことを書くのも躊躇われるところで、
以下に一冊の雑誌を紹介。


/ 建築資料研究社(2006/04/01)
Amazonランキング:位
Amazonおすすめ度:




今月(4月)号の『住宅建築』。
特集が「家具で決まる住空間の質」。
このなかで建築家の故吉村順三氏に関する話が取り上げられていますが、
たんに器としての建物を設計しただけでは住宅設計ではないという発想、
家具やカーテンや庭造りや、そうしたことすべてやらねば家を設計したことにならない、
そういう氏と氏の主宰した設計事務所の姿勢には深い感銘を受ける次第です。
その他にも家具作家と建築との関わり方などの記事も多数あり、
共感をおぼえるのと同時に建築や設計に関する技術的な部分ではなく
気持ちの面でとてもいい刺激を受ける今月の特集です。

これから家造りを考えていらっしゃる方、宜しければご一読を。
(雑誌のわりにちょっと高い書籍代ではありますが。)


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