SSブログ

デザインセミナー「建築と家具」 [暮らし]

昨日は飛騨高山まで日帰り出張でした。
出張といっても商談や打合せなどではなく、セミナーへの参加が主目的。
記事タイトルにあるようにセミナーは「建築と家具」という名称で行われましたが、
これは飛騨高山地域の木工関係業者により構成される(協)飛騨木工連合会主催の
『2006飛騨・高山 暮らしと家具の祭典』というイベントの催しのひとつとしてあったものです。
以前のブログにもあったように、建築と家具(“住宅と家具”ではない)とは
切り離して考えるべきでないと、自省を含め改めて思い致している自分としては
大変興味をそそられるセミナータイトルでしたので、思い切って高山まで足を運んだ次第。

この日の講師はデザイナーの小泉誠氏と、同じくデザイナーの五十嵐久枝氏のおふたり。
両氏がそれぞれ自身の仕事内容をスライド写真を交えて紹介し、
その後来場者からの質問などを交えつつディスカッションするという流れでした。

内容自体は両氏の建築や家具に対する考え方などが簡単ながらも理解でき、
それはそれで興味深く聞く事が出来ました。
話の流れで家具のディテールに関する説明が付加される場面もありつつも、
講演の基調としては全体と個のバランスや捉え方という部分に視点が置かれ、
両氏ともに“空間と家具を単体で考えるのでなく、建築物や環境など全体的な視点で
デザインを考えていくべき”という仕事の基本姿勢があることに共感を覚えました。
“空間の中に答えを見出していくデザイナー”と自認する五十嵐さん。
“食器や照明器具なども含めて家具と捉え、公共施設をも家と発想”する小泉さん。
ふたりの講話はそれぞれに楽しく、勉強になる内容でした。

欲を言えば、似たようなキャリアを持つデザイナー2人の共演ではなく、
建築屋の立場から話の出来る人も参加してもらえれば良かったかなというのも感想。
家具製作などの木工業者が中心となっている団体の主催なので仕方ない面もありますが、
せっかくタイトルが「建築と家具」となっているのだし、なにより飛騨高山は
木工家具だけでなくその建築技術や姿勢なども優れた独自性を醸し出す土地なのですから、
そうした実際の建築現場や業者との関わりという点にも触れた話を聞く機会が
今後あるとすれば、それはそれで面白いセミナーになるかなと思ったりもしました。

ところで空間と家具の両面を一体に捉えることが大事と考える人が増えている一方、
両氏のようにそれを実践してみせているデザイナーはそう多くないのが現実だったりします。
それはデザイナーという職種だけでなく、建築屋というスタンスの人もまた然り。
公私両面で木工はじめクラフトマンと称する作家たちと交流する機会が多くありますが、
空間の中で自身の作品の納まり具合や見栄えを考える人は少なくないとはいえ、
その空間の演出や創造・製作といったところまで具体的に踏み込んでいる人がどれほどいるか。
もちろんそうした創造のチャンスに巡り合う機会がないというのが現実だと思いますが。
建築屋の側としても同じことが言えるわけで、少なくとも住宅建築の世界では
器を考えるところまででお終いとするのが現状の大半ではないかと思われ。
(今までの私もそのうちのひとりでした。)

一般ユーザーの関心を考えてみても、建物≒空間を企画し、製図し、製作するという
一連の作業の中で、家具や什器まで建築として考える人は徐々に増えつつあるとはいえ、
多くの人は“建築は建築、家具は家具”というスタイルになりがちなのが現実だと思います。

あまり堅苦しく考える必要はないと思いますが、
建築(によって創られる建物・空間)も家具や什器などの類も、
それぞれが人によって日常生活の中で使われる道具であることに違いないのですしね。
専門家としての私たちは、大きな器も細かなしつらいも一体となって思考するよう努め、
建築主(=ユーザー)にも全体と個の一体の発想を抱いてもらえるよう、
心掛けて行かねばならないと思う、今日この頃です。


nice!(0)  コメント(0)  トラックバック(0) 
共通テーマ:住宅

nice! 0

コメント 0

コメントを書く

お名前:[必須]
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

Facebook コメント

トラックバック 0

外壁塗装は悩みの種熊出没の増加 ブログトップ

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。