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あがたの森文化会館 [歴史的建築物]

協会員として参加させて頂いている「NPO法人松本クラフト推進協会」。
その総会が昨日行われ、私も出席してきました。
この協会は以前のブログでも紹介した「クラフトフェアまつもと」の主催団体で、
協会員の多くは実際にクラフトマン、工芸作家として活動されている方々です。
現在は少数ながらも、私のような直接的に工芸活動を行っていない者でも
協会員として、また事務局メンバーとして会の運営に参加されている方もいらっしゃいます。

で、今日のブログはその総会の議事内容についてではなく
総会の会場に利用した「あがたの森文化会館」について、ひとこと。
あがたの森文化会館は大正8年に開校した旧制松本高等学校の学舎として
大正9年に建築されました。
大正9年は1920年ですから、85年前の木造建造物ということになります。
おそらくは当時の公共建築物として流行していたのであろう洋風仕立ての建築で、
外観内観ともに往時の姿が保存された状態で現在も日常的に利用されているという
とても貴重な存在の建物となっています。

現在は県宝として指定されている利点を活かして長野県より補助金を出してもらい
それを修理保全などに役立てているようです。
ゆくゆくは国の重要文化財指定を目指しているとのことですが、
この文化会館は県宝でありつつ松本市民の為の公民館として位置づけられ、
“あがた”地域に暮らす人々を中心に松本市民の大切な活動場所になっており、
単なる文化財保存ということだけに限定しないそうした現在の在り方に好感が持てます。

私たちが総会を行ったのは、かつては教室として利用されていた一室。
その他にもいくつも教室があるわけですが、何箇所かの教室では時間を並行して
音楽活動やその他サークル活動が行われていた様子でした。
図書室も設置されており、土曜日のこの日は多くの親子連れなどで賑わっていました。

トイレなどの割り切った改修が可能な箇所などを含め、
建物の内部は最も経年劣化が激しかったであろう床をはじめとする
大掛かりな改装がなされてはいるものの、総じて当時の姿をそのまま残しています。
窓なども基本的には(たぶん)当時のままの木製の“上げ下げ窓”タイプ。
部屋は天井が高くてよいのですが、容積が大きいわりに窓の開口面積が小さいせいか
風通しが悪く、総会の開催時間中は出席者全員が蒸し暑さの我慢を強いられていました。

文化財保護の観点から大掛かりな空調設備を設置し辛いという側面もあるようです。
(もちろん、予算面での困難さも当然あるのでしょうけど。)
ただ、文化財の保全維持活動というのは単に構造物の形だけを残すのではなく、
建築された当時の日常を偲び、また実際に体感することなどもある意味必要ともいえますし、
夏の蒸し暑さや冬の寒さを教室内部で実感出来るように残すのも、
文化財保護活動の一部と解釈できるのでは、と思ったりもしました。

市民として実際に頻繁に利用されている方たちは大変かもしれないですが、
一般利用に大きな支障がないのであれば、是非そのままの状態を
保全したなかで市民活動に活かしていって欲しいと願ってやみません。


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