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書籍のなかの景観 [景観全般]

昨日、午後から所用で松本まで出かけたのですが、
ことのほか早く用を終えたので空いた時間で書店に立ち寄り。
その書店は松本平のなかでは建築関係の専門書もそこそこ充実しているお店で
以前からよく通っていたのですが、職場から車で40分以上かかることもあって
このところ忙しさにかまけてすっかりご無沙汰。
で、数ヶ月ぶりくらいに立ち寄ったところ、ちょっとした変化に気付いて。
それは「けっこう景観関連の本が増えたなぁ」ということ。

建築・土木関連書籍のコーナー。
“景観”とか“まちづくり”というキーワードをテーマにした本が
以前にも増して本棚の占有面積を広げているのではないかと。
さっくりチェックしてみると、景観法が施行されてから発刊された本がたぶん7~8割ほど。
さらにそのうちの多くがここ1年以内くらいに出版された本のようでしたね。

松本市は景観条例を今年度改正し、新たに景観法に基づく景観計画を施行。
そうした背景を持った上での関連書籍の充実となったのかもしれませんが、
いづれにしても地域づくり・暮らしづくりの重要なツールでもある景観について
少しずつでも関心が高まっているのは良いことかなと感じた次第。

でも、そうした景観関連書籍はおしなべて業界誌、専門書籍の範疇なんですね。
建築、とくに住宅関連書籍自体は一般向けにも多くの本(主に雑誌)が出版されていますが、
たいていの書店ではそれらは専門書籍コーナーから離れて比較的目に付きやすい
一般雑誌の並ぶ一角で気軽に手に取ることが出来ますよね。

昨日はその専門書コーナーで以前から気になっていたまちづくり関連の本を2冊ほど手に入れ、
ついでにとレジに向かう途中でそんな一般向け住宅雑誌コーナーに立ち寄ってみたのですが。

「チルチンびと」などの代表的な住宅紹介記事中心の雑誌や
設備やガーデニングなどの個別テーマに沿った雑誌、
長野県地域限定で建築家や工務店を取り上げた雑誌など
新築やリフォームを考えている人達向けの住宅関連の雑誌が溢れていて、
そのコーナーだけで数十種類ほどもあってとても賑やかです。

そんな本棚に目を向けていると、景観と関連深い“建物の外観と外構のみ”を取り上げた
ユニークな企画の雑誌を見つけました。なかでは何十件という新築または
築数年程度の住宅の外観や外構が1~2ページ単位で次々と紹介されています。

洒落た雰囲気の外観のものがある一方、
これはどう理解すれば……と首をかしげてしまうようなものとか、
本を見ているだけで目がチカチカしてくるような派手な色使いの家とか、
まあずいぶんと個性的な家ばかりが登場していて。

ここでその雑誌に載った個々の家を評価するつもりもしようもありませんが、
雑誌の構成としては、出来れば建物単体の外観だけではなく
その周辺地域との調和がどう図られているかとか、
そういう景観面での考察や紹介があってもよかったのにと思った次第。

あるいは単体の外観としてみれば個性的という無難な評価を出すことが出来ても
それはあまりにインパクトがあり過ぎて地域の街並みのデザインからは
大きく逸脱してしまっている外観が多かったのではないだろうかと勘ぐってみたりして。

専門書ではなく、お手軽な雑誌として景観とか街並みをテーマにした本は
少なくとも私は今までお目にかかったことがありません。
(そういう類の雑誌があればぜひ紹介してください。)

街並みとか景観をテーマにしても、売れてくれる見込みがなければ出版できっこないでしょうしね。
だから専門書的な扱いでちょっとお値段お高めの本でしか製作できないのだろうなとも思われ。
それ以外にあるとすれば、街並みなんかの風景を撮影した写真集とかかな?
「季刊まちづくり」という本がありますが、これとて専門書の域を脱しない印象ですし。
季刊まちづくり.jpg

雑誌のなかの一コーナーで街並みと調和の取れた外観や植栽を考えた住宅を取り上げるとか、
そうした方向ならあるいはこれまでにもあったかもしれないですし、
これからも取り上げられるかも知れないですね。
安曇野市の景観計画策定委員会でも、市民全体に景観への関心を高めてもらうには
どうすればよいだろうと知恵を絞りあっているところです。
雑誌に限らず影響力のあるメディアが特別編集の記事でも何でもいいと思いますが、
景観に配慮した家づくり特集とか、そういうのがもっと頻繁に目に付くようになってくれれば、
関心を高めていく一助になってくれるのではとも思うのですが、さてどんなものでしょうね。
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安曇野ライフ

昨日は景観計画策定委員会お疲れさまでした。

日本では「景観」は「都市計画」の一部という考え方が強く、
「環境」ほど市民に近い存在になっていません。
現在は「行政主体の都市計画」から「市民主体のまちづくり」へ
の過渡期であり、専門家と市民の意識のギャップがそのまま
書籍に表われているのかもしれません。

「季刊まちづくり」を出版している学芸出版社は、まちづくりに
特化した京都の出版社です。景観に関する図書も多いので、
参考にしてみてください。

http://web.kyoto-inet.or.jp/org/gakugei/

ちなみに「季刊まちづくり」は全て持っていますので、いつでも
貸しますよ・・・。



by 安曇野ライフ (2008-08-29 09:25) 

のぶさん

>安曇野ライフさん
コメントありがとうございます&昨日はお疲れ様でした。
会議中の私の間抜けな質問はどうぞ忘れてやってください。。。

一定の方向性を共有できる環境問題全般と、主観的要素が
強く働く景観問題では市民のなかでもギャップが大きいですしね。
仰るとおり今は良い方向に向けての過渡期でもあるし、
少しずつでも日常生活のなかに変化が見えてくれば
いいかなと思います。

「季刊まちづくり」いつも買おうかどうしようか迷ってましたが、
これからは迷いなく安曇野ライフさん宅へ借りにうかがいます。(^_^;;
というかその前に、ずいぶん前に借りたままにしている都市計画の本を
いい加減に返さねば怒られますね。(汗)
by のぶさん (2008-08-29 15:25) 

自遊人

こんにちは 委員会ではいつも勉強させられています。
個性を生かしたいという人に調和を説いていくのは、
結構難儀しますが、全く場違いなデザインの家を見かけると
がっかりさせられてしまいます。
昨日、鉄塔の話が出ましたが、市もこれからIT化を進めていく
上で電線も含めて避けて通れない問題です。
「建てるな」というのは簡単ですが、一方でSBはつながらない
という数字が出ており、不満を持っている市民がいる以上、
何らか工夫しなければ進まない。
人工物でありながらそれと感じさせないデザイン、自然に
溶け込むようなつくりのもの、それでいて本来持つ機能は
失わない。難しい問題ですが、環境に関心が出てきた
今日なら知恵が出てくるはずですね。
by 自遊人 (2008-08-29 20:16) 

のぶさん

>自遊人さん
こんにちは。コメント有難う御座います。
また委員会ではいつもお疲れ様です。

抱えている問題は奥が深くて幅も広く日々是勉強という具合ですが、
景観形成に終着点があるわけでもないですしね。
歴史を学んで今を考え未来に繋ぐ、そんな感じで頑張りたいです。

生活至便のレベルは景観と同じで人の価値観に大きく左右されますが、
皆で知恵を出し合って地域づくりを進める中でより良い方向性を
見出して行ければよいですね。
by のぶさん (2008-08-29 21:14) 

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